国語勉強法、今からでもまだ間に合う!―高3センター対策古文漢文編―
毎度おなじみ、室長のコラムです。第5回目は予告通りセンター現国の古文と漢文についてです。
更新をさぼってしまって、前回からずいぶん間が開いてしまいましたが、タイトルの通りまだ間に合います!あきらめたらそこで試合終了ですよ!
対象は前回と同様に基礎レベルの方です。
実力の確認
古文の勉強って何をしたらいいの?と疑問に思う方はたくさんいると思います。
まずは自分の実力を確認しましょう。
とりあえず、『マーク式基礎問題集 古文編』でも買ってきて、1・2問解いてみてください。その上で、以下の点を確認してください。
- いつ・だれが・なにを・どうした、といったストーリーが把握できたか
(目安:大体の要約ができる) - 半分以上得点できたか。またその中で、根拠をもって答えを出せた問題が何問あったか
(目安:根拠があって、得点半分以上) - 解答の解説を読んで意味が理解できるか
(目安:理解できる) - 音読してみて、つまらずに読めるか
(目安:同じ文を2回読んだらスラスラ読める) - 現代語訳して、全文訳と比較してどれくらい一致するのか
(目安:現代語訳を最後までできること、辞書を使えること、大まかな内容があっていること)
上記の項目で、3つ以上できないことがあるなら、率直に言って独学では無理です。今からでも遅くないので塾を探しましょう(その際はONEスタイルアカデミーをよろしく)。
3つ以上をクリアできる人であれば、最低限の知識は持っているということになるので、以下の勉強法を実行すれば力をつけられるでしょう。
使うべき問題集
まず基礎レベルの人が使うべき問題集・参考書ですが、現国編と同じく特定個人の名前を冠したものはおすすめしません。一番有名なのは「マドンナ古文」ですが、これが短期間で実戦のテストに役立つかというと、疑問です。
この本に限らず、古文の参考書は「知識を知っていること」が前提であり、「知らなかったことを覚える」ことを目的に作られています。つまり、問題を解き、解説を読んで、知識を覚えるという形ですね。これのどこが悪いのかというと、まったく悪くないのですが、今の時期からそれをやっていては間に合いません。
使うべき問題集はまずさきほど挙げた「マーク式総合問題集 古文編」。
- 問題を解く(制限時間あり。20分)
- 確認し、解き直す(制限時間なし。辞書を使ってよい)
- 答え合わせ、解説を読む
- 音読する。最低3回 スラスラ読めるまで
- 分からなかった単語を辞書で調べ、本文を写す
- 現代語訳する
1~6までキチンとやれば、必ず成果が出ます。
ただ、そもそもみなさん古文の勉強って、そんなに熱心にしたいですか?ぶっちゃけた話をすれば、やる気はありますか?ないと思いますよ。たぶん。
高校3年生の夏休み以降で、まだ基礎ができていない人は、まずは古文よりも英語、そして社会・理科の勉強をすることでしょう。それが普通だし、塾でもそちらを優先するようにすすめています。
よって、基本的に古文の知識を一から習得する時間はないと思います。
全部やるのは無理だという人は、1~4まででも構いません。
重要なのは4の音読です。これだけは絶対にやってください。
音読の重要性
なぜ音読が重要なのかというと、古文は日本語だからです。
日本語なのですから、何となく読んでいれば分かるようになります。少なくとも、『スピードラーニ○グ』よりは効果があります。
皆さんが古文を読んでも分からないのは、原因が主に3つあります。
- 単語の区切りが分からないから。
- 主語(正確には動作主)の特定ができないから。
- すべてを現代語訳しようとするから。
単語の区切りが分からない
1つめについて説明します。
試しに次の「」の部分を音読してみてください。
「なほざりにもの言いふれ給ひにしあたりあたりにも、いまひとたびづつとおぼして・・・」
「さしもよろづおぼしとぢむるきざみにしも、・・・」(『風に紅葉』より)
どうでしょうか?
上はともかく、下は難しいんじゃないでしょうか?
なぜ難しいのかというと、平仮名ばかりでどこで区切ったらよいのか分かりにくいからですね。
「なほざりに/もの言いふれ給ひにし/あたりあたりにも、いまひとたびづつと/おぼして・・・」
「さしも/よろづ/おぼし/とぢむる/きざみにしも、・・・」
こうして区切りを入れるとかなり読みやすくなるはずです。どうしたらこういうことが分かるようになるのでしょうか?
時間があるなら、さきほどの学習手順の5と6、つまり写し・現代語訳するのがよいでしょう。が、音読だけでもかなりの効果があります。要するに、慣れなのです。慣れていないから分からないのであり、慣れれば分かります。もちろん、意味内容を完全に理解することは不可能ですが、7~8割方か、最低でも5割程度であれば十分に可能です。
主語の特定
5割の理解とはどういうレベルかというと、「いつ・どこで・誰が・何を・どうした」が分かるレベルです。
これさえ分かれば、ストーリーは十分に理解できるし、問題に正解することもできます。
次の文を読んでみてください
「(内大臣が西の対の姫君を外から垣間見ていて、その後。)心やすげなるところからなれば、妻戸をやをら引きてみ給ふに、開きぬ。入り給ひて、中の障子を開け給へるに、みなあきれたり。奥の方へすべり寄るを、引きとめ給へれば、前なりつる人、「これは誰にておはしますぞ。かやうに人のおはしますべきところにても侍らず」と、泣きぬべき声にて言ふに、・・・」(『風に紅葉』より)
ここでは難しい単語は一つも使われていませんが、意味は非常に分かりづらいです。なぜなら、主語がコロコロ変わるからです。
特に難しいのが下線部で、「奥の方へすべり寄る」のは姫君、「引きとめ給」うのは内大臣です。
内大臣が入ってくる→みんながあきれる→姫君が逃げる→内大臣が捕まえる→前なりつる人が泣きそうな声で言う
というストーリーなのですが、理解できましたか?
ここでのポイントは、「動詞の後ろの敬語」です!
そこに目をつけて、敬語=内大臣、その他=姫君およびお付きの人々、という図式が分かっていれば、この場面を十分に理解できます。
2つめの、主語の特定の大切さが分かると思います。
また、主語によって内容が理解できるだけでなく、問題を解くときの大きなヒントになります。
センター試験の古文では次のような問題が多く出されます。
「傍線部について説明しているもののうち、最もふさわしいものを、次の1~5の中から一つ選べ」
この時大抵の人はまず傍線部を現代語訳しようとしますが、その前に主語を確認しましょう。例えば、選択肢の1・2は姫君、3はお付きの人、4・5は内大臣が主語である場合、主語の特定ができていれば、答えを2択に絞ることができます。内容や現代語訳を考えるのはそのあとです。
全文訳は必要ない
さらに言えば、3のように全文訳をする必要がないことも分かるはずです。
前なりつる人のセリフの部分は、訳そうとすれば難しくなります。しかし、「非難した」というイメージが分かれば十分です。
こういう考え方を「抽象化」といい、古文を読む上では必要不可欠な考え方です。感情面で言えば、+か-かが分かればストーリーの把握には困らないし、問題を解くこともできます。
要するに、「正しい単語の知識」と「完全な現代語訳」を求めているから分からないのであって、もっといい加減な考え方が必要なのです(余談だがこの考え方は英語の長文読解にも必要)。
古文を読むときのポイントをまとめると、
- 古文は動詞の主体や対象を明らかにしながら読む
- 主語の特定は動詞の後ろの敬語に注目
- 現代語訳しない。何が起こっているのかを把握する
- 分からない単語は+か-かで抽象化する
となります。
単語帳と文学史
ちなみに、単語帳は特に取り組む必要はないです。問題を解いて分からない言葉を調べて・読んで・写す・訳す、で十分です。古文単語の学習に時間をかけても、得られる点数は限られているし、それよりも読解に慣れてテクニックを身につける方が大事です。
ただ、問題演習中心にすると漏れ抜けが多くなるのも事実で、体系化された知識も身につけておきたいという人は、「現代語と同じ形で意味は違う単語」を集中して覚えるとよいでしょう。これならテストに出る確率も高いし、数もそう多くないので時間もかかりません。
それと、私立大学受験で古文を使う人は文学史が必須です。必ず出ます。センターもたまに文学史がらみの問題が出ます。便覧などに年表の形でまとめられているので、それを丸暗記してください。
一見するとものすごい数に見えますが、実は覚えなければならない知識はそう多くありません。100程度です。これくらいは覚えてしまいましょう。
漢文編
次に漢文です。
『早覚え即答法』
これ一択。以上(笑)
とにかく、巻末の「暗唱例文」が秀逸です。
国語の歴史において、「いろは歌」以来の大発明だと思います(笑)。
これは参考書兼問題集ですが、各内容を網羅するのが面倒な人はこの例文をとにかく音読してください。
これを丸暗記できれば、それだけでうまくいけば満点。少なくとも7割は取れます。
余裕がある人は本編の解説を読み、本文を写し、現代語訳してください。
時間のない人はとにかく各章の解説と例文を音読してください。それぞれ5回も読めばそれなりに頭に入るでしょう。
漢文が全然分からないという人は、騙されたと思って上記の例文を3回読んでから問題を解いてみてください。違う世界が開かれたことを実感することでしょう。
漢文は知識
古文と違って、漢文に必要なのは知識です。知らなければどうにもなりません。
問題に慣れるよりも、まずは知識が優先です。知識を十分に得てから問題を解きましょう。
解いた後は古文の手順と一緒です。
写す・訳すが面倒な人は音読で構いません。
まとめ
とまあいろいろと理屈を述べてきましたが、個人でこれらの法則を使いこなし、勉強するのは難しいでしょうね(笑)。
それでも、古文漢文は少しコツを覚えたり、知識を身につけたりするだけで飛躍的に点数を伸ばすことができる科目です。まだ間に合うので、諦めずに頑張ってください
疑問に思うことがあれば、このHPのお問い合わせフォームからでもご質問ください。お電話でも構いません(本山駅前校 伊藤 あてにお願いします)。
古文単語をムッチャ勉強したけど、センター本番ではぜんぜん分からなかった 伊藤