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国語の勉強法について、夏休みに何をすればいいの?―高3センター対策 現国編―

投稿: 2018年08月05日 02時44分投稿 カテゴリ: 国語 Photoelly039 tp v4

毎度おなじみ、室長のコラムです。第4回目のタイトルは上記の通り、高校3年生向けにセンター試験対策について書いてみたいと思います。
対象となるのは夏休み前の時点で偏差値55以下の人です(全統マーク模試などの結果。校内テストの結果は関係ない)。得点で言えば、現文・古文漢文合わせて140点以下(200点満点)の人になります。
すでに偏差値60以上の人はこの稿を読む必要はありません。国語を極めたいという人はまた別の機会に。まずは困っている人が優先です。
当然ですが、難関私立大学・国公立の2次試験・記述問題も考慮しません。センター試験国語の現国・マークシート方式のための勉強法です。

 

まずは弱点をチェック

センター試験の現国ができない人は主に次のような弱点を持っています。以下に示すので、自分にどこが当てはまるか確認してみてください。

  1. 時間が足りない
  2. 見落とし・見間違いが多い
  3. 文章の意味が分からない(1文に何が書いてあるのか理解できない)
  4. 本文全体の内容がつかめない(筆者の主張、ストーリーなど)
  5. 答えの選び方が分からない(正解に✖をつけてしまう、残り2択でよく外す など)

上記の1・2にチェックがある人は「見る」能力に問題があります(OSAメソッドによる。詳細は「ONEスタイルアカデミーについて」のページをご覧ください)。
時間が足りない人は、見るスピードが足りないということだし、見落としや見間違いが多い人は、見る正確さが足りないということになります。

ちなみにセンター試験の国語の問題でどのくらいのスピードが必要かというと…
センター試験国語の文字数は、おおざっぱに言うと 約20000字。
試験時間は80分で、半分は問題の解答に使うと、読むのに40分。
これだと 1分間に500字を読むのが最低ラインになります。
一通り見ただけでは意味が分からなかったり、言葉・内容が難しくて読み直したりする必要もあることでしょう。
よって通常は 1分間に800字、原稿用紙でいうと2枚分の文字を読む必要があります。
ただ目を通すだけでは意味がなく、内容を正確に把握しなければなりません。できれば、覚えていることが望ましい。
やってみると分かりますが、結構難しいですよ。練習しないとできません。

 

見るスピードと正確さを上げるには?

まずは読書です(笑)。
同じことばかりでいい加減に飽きるかと思いますが、大事なことなので何度でも繰り返します。
見落とし見間違いが起こるのはなぜか?
一番の原因は、目線の動きに慣れていないからです。
何のことか分からないという人は、まずスマホを手に取ってYahoo!ニュースのサイトでも開いてみてください。
画面は縦長で、文字は横並び、文字数はせいぜい20字程度で幅が狭く、ほどんど目線を動かす必要はありません。

次にセンターの過去問や模試を見てください。B4~A3サイズの大きな紙で、縦書きです。1行は30~40字程度で、目線を縦に大きく動かす必要があります。
同じ見る作業であっても、縦と横でまったく動きが違います。つまり、普段やっていないことを強制されるのでミスが起こりやすくなる、というわけです。
例えるなら、普段はゴムボールでソフトテニスを練習している人が、試合になったら硬式ボールでテニスをするようなものです。普段自宅のマイ包丁で料理をしている人が、料理教室では中華包丁しか使っちゃダメと言われるようなものです。

読書習慣のない人は、普段の生活で国語の勉強以外で「縦書き」に触れることがほとんどありません。文字情報に触れるのはスマホがせいぜいで、しかも使うのはLINEやツイッターなどの短い文のアプリばかり。まとまった量の文章を読むことはほとんどない、というのが実情です。
まずは何でもいいので本を手に取って、せめて1週間で1冊読み終えるぐらいの見るスピードを身につけましょう。(読書についての詳しいことは、本ブログの「読書:本の選び方と読み方とは?3つのポイントで整理」という記事をごらんください)

 

本文の内容が分からない人

上記チェックの3に当てはまる人は、まず内容の前に言葉の意味が分からないということはないでしょうか?
国語は読解力とよく言われますが、そのベースとなるのは語彙、つまり知っている言葉の知識量です。英語は単語が大事、と言ってみんな単語帳で練習するのに、国語はなぜやらないんでしょうね?
日本語だから大抵の言葉は見聞きしたことはあるのでしょうが、知っているだけじゃ意味がありません。正確な意味が理解できていないと問題の答えや本文の解釈の間違いにつながります。
その場合は
「大学入試現代文キーワード500―読解と小論文」(桐原書店)
などの現国用単語集などを使って地道に勉強しましょう
もちろん、読書・辞書も有効な学習になります

4にチェックがある人には、要約をお勧めします。
文章の流れやストーリーなどが分からない人というのは、1文を見ることに集中しすぎて、全体が見えていないことが多いです。木を見て森を見ず、というやつですね。
要約をすることで全体を通して考える癖がつき、流れがつかめるようになります。パズルのワンピースを近づいて見ても何の絵か分かりませんが、離れて見れば一目瞭然です。

具体的な方法は、
問題を解き、解説を読んだら文章の長さにかかわらず100字でまとめます。よくできた問題集であれば要約が載っているのでそれを利用してください。なければ本文の解説を読んで参考にしましょう。段落ごとにタイトルをつける、というのでもいいでしょう。
問題集の文章だと難しい場合は、新聞のコラムの要約もいいと思います。社説・天声人語などですね。
要約が正しいかどうかはあまり気にしなくていいので、とにかく書いてみてください。書いているうちに慣れます。正しい要約ができることよりも、全体を見る癖をつけることが大切です。

問題集の選び方と使い方

次にいよいよお待ちかねの問題集について。
どんな問題集を使ったらいいのか、分からない人は多いと思います。夏休みの時期にはどのような問題集を使うべきなのでしょうか?

選び方

おすすめポイントは2つ
① 基礎問題集
② 複数の人が編集にかかわるもの

① まずは基礎レベルの問題集を選んでください。いきなり過去問などに手を出しても意味がないですよ。
「今から基礎をやっていて間に合うのか?」と思うかもしれませんが、センター対策なら間に合います!
基礎が身につくのに3か月ほど、残り2か月を過去問に充てて問題に慣れる。余裕があるとは言いませんが、十分に可能性はあります。あくまでも偏差値60程度を目指すのであれば、まだまだ焦る必要はありません。
② 復習の人が編集にかかわるとはどういうことかというと、特定個人の名前が出ていない問題集のことです。
特定個人の名前が出ている問題集と言えば、現国の場合は「出口シリーズ」と「田村シリーズ」が代表的です。
個人的には、「初心者には」これらの特定個人の先生が作った問題集はあまりお勧めしません。
なぜなら、こういう問題集にはしばしば「悪問」が登場するからです。悪問とは強引な解釈をしたり解説が不十分だったりして、解法や答えそのものに納得がいかないような問題です(愚問とも言います(笑))。
もちろんほとんどの問題はちゃんとした問題なのですが、たまにこういう問題があります。こういう問題は基本通りに考えても当たりません。基礎を身につけたいのに、その基礎が通じないのでは意味がありません。

私のおすすめは「マーク式基礎問題集 18 現代文」 (河合塾シリーズ)です。
この問題集は内容が基本的な上に、河合塾全体が編集にかかわっているので、考え方の偏りがありません。結局、国語の問題はいろんな人が作るわけで、人それぞれに癖があります。ですから、いろんな人の考え方に触れた方がいいのです。

ちなみに、前述の両氏の問題集が役に立たないというわけではありませんので。念のため。
使うのであれば、
・基礎ができてから(基礎=見るスピードと精度が身について、半分以上は得点できる)
・中堅レベルの問題集から始める
・いくつかの問題をやってみて、答え合わせ・解説を読んで十分に理解し納得できるか確認する
・両氏の問題集で試してみて、気に入った方を継続する
このような手順で利用するのが良いでしょう。できれば、センター対策としてよりも、難関私立大学向けの対策として利用する方が有効だと思います。理由はまた機会があれば。

使い方

次に使い方について。
センター試験対策をするときは以下の手順で問題集を利用してください

  • 時間制限通りに解く
  • 解き終わったら、時間無制限でもう一度見直す。辞書を引いたり、図式化したり、答えを見る以外の何をやってもよい。少なくとも、見落としと見間違いはないと断言できるまで徹底的に見直す
  • 最初の答えは必ず残す。書き直したのが分かるようにする
  • 答え合わせをして、解説を読みながらどうしたらその答えになるのか確認する。見落とし見間違いがあったら、深く反省する(笑)
  • 解くのは大問1問ごとにする(評論→20分、小説→20分・・・)。全体を一気にやらない(評論・小説・古文・漢文→80分)

この時期(夏休み)には、まだ時間制限は気にしなくてもいいです。「ゆっくりやれば何とかなる」という感覚をつかんでください。つまり、時間制限なしで70%を目指します。
何問か解いてみて、時間無制限でやっても全く70%に届かない、または解説を読んでもどうしてそうなるのか納得がいかないという人は、迷わずどこかの塾の門をたたきましょう(できればONEスタイルアカデミーでお願いします)。独学では無理です。

まとめ

  1. 見る力の不足は読書・辞書の基礎トレーニングで
  2. 言葉の知識も大切。単語帳で地道に
  3. 流れを把握するには要約。見方の癖をつける
  4. 問題集は複数の人が編集した基礎問題集を正しい手順で

いかがだったでしょうか?
おそらくこの記事を読んだほとんどの人が、「国語専門塾のくせに当たり前のことしか言ってねーじゃん!」とご不満に思ったことでしょう。まったくもってその通りです。当たり前のことを当たり前にやるしかないのです。一足飛びに成績を上げられる方法なんてありません(たぶん)。
その、当たり前が難しいから、私たちのような塾は存在しているのです。
当たり前で地道な基礎トレーニングを計画に沿っていかに効率よく、効果的に行うのか。そういうサポートをするのがoneスタイルアカデミーという塾です。分からないことがあれば、何でも聞いてください。

「○○さえやれば」なんていう魔法の攻略法があるなら教えてほしい 伊藤