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読書:本の選び方と読み方とは?3つのポイントで整理

投稿: 2018年07月09日 21時38分投稿 カテゴリ: 国語 Gftdrsedfyg tp v4

毎度おなじみ、本山駅前校の伊藤です。

前回に引き続き、読書について。今回は本の選び方と読み方・読ませ方についてです。

最初に断っておきたいのですが、ここから示す内容はあくまでも受験勉強のためであって、人格の形成であるとか情操教育とかは考慮しません。また、幼児教育は専門外であるため、言及しません。 読み聞かせや絵本の効果についても同様ですので、ご了承ください。
対象になるのは、現実と空想の区別がはっきりとつくぐらいの年齢、具体的には小学校3・4年生以降から、高校3年生までになります。

子供に読ませるべき本とは?

私は3つのポイントを設定しています。
① 興味のある分野であること
② 絵の少ないもの
③ 言葉のレベルが本人のレベルに合っていること

① 興味のある分野であること

これはは絶対条件です。
大人はできる限り「いい本」を選びがちですが、これだと面白くありません。いい本とは、作文コンクールの課題図書が好例です。確かに内容も素晴らしく、社会勉強にもなるという点でぜひ読んでほしい本ばかりなのですが、いかんせん説教くさいというか…(笑)。

タイトルをいくつか挙げると、(青少年読書感想文全国コンクール 2015~2017より)
「レジェンド!:葛西紀明選手と下川ジャンプ少年団ものがたり」
「うなぎ一億年の謎を追う」
「コロッケ先生の情熱!古紙リサイクル授業」
「大村智ものがたり  : 苦しい道こそ楽しい人生」
「転んでも、大丈夫  : ぼくが義足を作る理由」 など。

どれも難しいということはなく、非常にためになる内容の本ばかりなのですが、この「ためになる」というのが厄介なのです。
読書嫌い、そして国語嫌いの生徒というのは、この「ためになる」=いい本、を心底嫌がります。読書感想文という響きもやる気をそぐこと間違いなしです。

最初に本を選ぶときは、こういった子供に良い影響を与えてくれるいい本、という観点を忘れて、純粋に子供の興味のみで選んだ方がいいと思います。まずは読むことが大切で、量をこなし、慣れることが肝要です。

例1) ワールドカップの日本代表を見て熱くなった→「心を整える」(長谷部誠=日本代表キャプテン)

例2) 三度の飯よりスイーツが好き→「世界一のパティシエになる! ケーキ職人 辻口博啓ものがたり」(輔老 心)

例3) オウム真理教の教祖・麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚ら7人の死刑執行というニュースに興味をもった→「止まった時計 麻原彰晃の三女・アーチャリーの手記」(松本 麗華)

例4) 朝ドラ大好きでいつも見ている→「半分、青い。 上」(北川悦吏子)

例5) サバイバルアクションゲームにドはまりしている→「戦場」(亀山 亮)

どんな子供でも、興味のあること、好きなことは必ずあるものです。「何にも興味はなんてない。寝てる方がいい」とでも言うのなら「スタンフォード式 最高の睡眠」(西野精治)なんていう本はいかがでしょうか?

探せばあります。Amazon などでキーワード検索すればいくらでも見つかります。

「その中でどれがいいのか分からない」という場合、私は読んだ人のレビューを参考にします。食べログで美味しい店を探すときと一緒ですね。
レビューの数が多ければそれだけ売れているということになるし、評価自体が高ければ(だいたい3.5以上が目安)、読んだ後に満足した人が多かったということになります。何人かのレビューを読んでみると内容もある程度は把握でき、初心者にとっては安心感につながります。

ちなみに、ここに挙げた本はノンフィクション(実話、エッセイ)がほとんどですが、これは私個人の好みであって、小説でも構いません。興味のあるジャンルであれば問題ありません。

② 絵の少ないもの

挿絵について。
これは、なるべく少ない方がいいです。受験における読書の目的は、活字に慣れて読むスピードと精度を上げることです。挿絵が多すぎてはそちらに気を取られてしまって肝心の字を見る作業がおろそかになってしまいます。
ただしこれも相手によりけりで、活字アレルギーというレベルでとにかく本が嫌い、というような生徒には、あえて挿絵の多いものをすすめるときもあります。最悪のケースとしては、マンガもアリです。とにかく、何もしないよりはましです。

③ 言葉のレベルは気にしない

言葉が難しすぎると読めないんじゃないか、という心配について。これについてはあまり考慮しなくていいです。一応注意点として示してはいますが、言葉が難しくても読書は楽しめます。
その証拠に、私は小5の時に「三国志」(吉川英治)を読んでいました。すごく楽しくて、読書にはまるきっかけとなった本ですが、20歳の時に読み返してみると、1ページに1つは読めない漢字が出てきました。いったいどうやって読んでいたのでしょう(笑)?このような例は私以外にもたくさんあって、要するに楽しければ何とかなるということですね。

上にあげた例で言えば、スイーツ・料理好きの女の子に対して、
「世界一のパティシエになる! ケーキ職人 辻口博啓ものがたり」(輔老 心)
「天皇の料理番 (上)(下) 」(杉森 久英)
「料理王国―春夏秋冬」(北大路 魯山人 )
どの本を読ませてもいいのです(下に行くほど難しい)。

読ませてみて、ストレスにならないようならチャレンジさせてみる。ダメなら本を変えればいい。小学生だからとか、国語が苦手だからという先入観を持たない方がいいです。

読み方・読ませ方について

読む本を決めたら後はひたすらそれを繰り返すだけなのですが、注意点がいくつかあります。

① 1冊読み切ることを強制しない!

これをされたら嫌になるばかりです。おすすめは、2冊用意してまずはどちらかを読み、飽きたらもう一方へ移る。それに飽きたらまた元の本に戻る・・・と繰り返すことです。飽きたり、途中で投げ出したりしてもいいんだとリラックスさせたいです。
また、1週間たっても数ページしか進まないようなら諦めて、他の本を探しましょう。いろいろ読んでいれば、どこかで「当たり」が来るはずだ、と信じてください。

そのために積極的に利用してほしいのは、図書館と古本屋です。
新品を買うから、1冊読み切らないともったいない気持ちになるのです。タダか、1冊100円程度であれば、読めなくてもまいっか、と気楽でいられます。5・6冊一気に手に入れて、一通り目を通して面白そうな本を選び、残りはすぐに返す。古本ならまた売ったり、人にあげたりすると効率的です。

② 読書感想文を書かせない!

読書=感想文という忌まわしい図式は、もはや悪魔と呪いの儀式のようなもので、悪いイメージしかありません。
ストレスにしかならないし、そもそも読書嫌い・国語嫌いの子がまともな作文など書けるはずもありません。やめてあげましょう。同様に、要約させるなども避けた方がいいです。

③ いつまでに○ページなど、計画を立てない!

これも苦痛を生むだけですね。読み切ることの強制にもつながります。初期の段階において1日の目標ページを設定して、できたら褒めてあげるぐらいはアリですが、できなかったら叱るというのはやめた方がよいでしょう。
読書のペースというのは人それぞれで、経験を積むうちに自然に上がります。無理に上げさせると、見る力の低下を招いてかえって国語の成績を下げることもあります。

 

読まない方がいい本はあるのか?

基本的にはありません。
どんな内容の本でもいいので、まずは読んでみてください。
ただ、個人的にお勧めしない本というのはあります。
(あくまでも国語学習についての個人的な意見ですので、そのジャンルが好きな人は気分を害さないでいただきたいです)

内容・ストーリーが非現実的なもの

ライトノベル、ファンタジー、SFなどです。一般的に国語のテストというのは、論理的思考の能力を試されるものですが、これらのジャンルの本には論理を無視した展開が多く見られます。特にライトノベルについては、いかに読者の意表を突くのか?いかに変わった状況を作るのか?にばかり気を取られて、ご都合主義的で強引なストーリーに終始するものも少なくありません。国語のテスト対策にはあまり役に立たないでしょう。趣味で読むのは構いませんが、そればかりを読むのはお勧めしません。

※ライトノベル:「軽小説」を原義とした小説の分類名。中高生や若年層向けに軽妙な文体でストーリーが描かれており、通常の小説と比べ挿絵が随所に入り、表紙がアニメ絵の美少女など特徴的なものが多い。通称「ラノベ」

日本語が下手なもの

何をもって日本語が下手というのか、というのは意見の分かれるところですが、ここでは読んでいて誤解の生じる恐れがある、というのを下手としましょう。
上記のライトノベルにもそのような作品は散見します。また、若い女性作家の恋愛小説も注意が必要で、感情ばかりが先だって現実として何が起こっているのかよく分からない作品があります。
海外の作品の翻訳版も多読はお勧めしません。翻訳することで文意が伝わりにくくなることは避けられないし、文化的な背景を知らないと理解できない表現も多くなります。
よって、「海外翻訳のファンタジー」とか「恋愛もののライトノベル」などは避けるか読む回数を減らした方がよいでしょう。

「入試でよく狙われる作家」の本

これは学習効果はあるのですが、少なくとも初心者にはお勧めしない本です。
理由は分かりにくいからです。
誰が読んでも同じように理解できる分かりやすい本というのは、入試問題に向いていません。よって、よく採用される作家さんは独特の表現で解釈が難解であったり、読む人によって解釈の変わる表現を持っていたりすることが多いです。普通に読んでいても首をかしげたくなるような文章も見受けられ、そこが問題になるのですが、読書初心者にとってはハードルが高くなってしまいます。慣れてくればそういう文章を面白さとしてとらえられるようになります。

まとめ

とまあ様々なことを述べてきましたが、結論としては、あまり深く考えずにとりあえず手に取ってみよう、ということですね。興味のある分野、気になっていることを含んだ内容の本を、手当たり次第に読んでみましょう。
読書は勉強であると同時に息抜きです。
息抜きと勉強が一緒になったらこんなにお得なことはありませんね。
5・6冊読めば、きっと面白い!と思う本に出合えるはずです。

じつは小5までは読書嫌いだった 伊藤より