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2026.10.26

国語ブログ「大事なところに線を引く」物語文編

毎度おなじみ「国語専門塾」のワンスタイルアカデミーの伊藤です。

遠い昔の・・・前回に引き続き、テーマは「大事なところに線を引く」です。

前回は「説明文」について解説したので、今回は「物語文」についてです。

はじめに

まずは「大事なところ」の定義と目的を確認します。

全体像をなるべく早く、正確につかみたいのです。

そうすることで、先に言った「文章全体の流れ・構成を把握」しやすくなります。

文章全体の構成が把握できれば、それぞれの問題において「どこを探せば答えが見つかるのか?」が推測しやすくなります。

最終的に見つけたいのは、問題に対する答えの箇所なのですから、そこにつなげるために全体の流れをつかむことが必要なのです。

まとめると、

①文章を短くする(見やすくする)

②全体の流れを把握する(つかむ)

③答えの箇所を特定しやすくする(見つける)

という流れです。

物語文の大事なところ

そこに付け加えて、「時と場所」「できごと」「⊕⊖」です。

時と場所はともかくとして、「行動」に注目するという意見には反論が多そうですね。(できごと・⊕⊖は別の項目で説明します)

少なくとも、国語の指導者を名乗る人間で、「行動に注目しろ」という人は、私も自分以外では聞いたことがありません。

一般的に物語文においては「人物の『心情』に注目しろ」と習うことでしょう。もちろん私もそう習いました。

まず言っておきたいのは、心情に注目すること自体はまったく間違いではないということです。

ただしそれは、国語の得意な人の場合です。

この記事は国語の苦手な人を対象としているので、心情ではなく行動です。そっちの方がいいんです!

ここでの目的は、前回の記事で話したように、「文章を短く」して、「全体の流れ・構成を把握」することです。

心情に注目するよりも行動に注目した方が、圧倒的に全体の把握はしやすくなります。

具体例

例として『羅生門(らしょうもん)』(芥川龍之介、1915年)を挙げてみます。こちらも読んだことはなくても聞いたことはある文だと思います。主に高校の教科書に載っていますね。

全編でだいたい6000字の文章です。

さすがに長すぎて掲載しませんが、リンク先を示しておくので一度見てほしいです。

https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/127_15260.html

スマホで見たりすると特に長く感じるでしょう。

6000字というのは大学入試の国語の問題で読む文章としては短い方です(6000~9000)。短編なので、読書慣れしている人にとっては大したことではありません。

ですが、国語が苦手・嫌いな人にとっては地獄にも等しい長さでしょう。普段ろくに運動をしていない人にとっての1500m走みたいなものです。全部読まなくてもいいので、長さを体感してください。

また、根性がもつのであれば、大事なポイントを自分でまとめてみてください。

読みましたか?では解説します。

この話の主人公は名もなき「下人(げにん)」で、心情が複雑に変化する非常に面白いものです。だから教科書に掲載されるのでしょう。

ただ、文章が長い上に言葉も難しく、その心情を十分に理解することはかなり難しいし、そもそも注目する箇所が多すぎて把握しきれないはずです。

ですが、展開を把握することを目的として行動に注目すれば、とたんに簡単になります。

行動の部分だけを抜き出すと、以下のようになります。

原稿用紙の3分の1以下です。

『羅生門』という話のあらすじは、ここにある通りです。これで一応「羅生門を読んだ!」と言ってもいいですよ(笑)。

理解したと言ったのなら嘘になりますが、流れを把握する(=つかむ)ことができたのは事実です。

心情に注目してもそれは不可能ではありませんが、どこの表現に注目したらいいのか分かりにくいし、意味も分かりにくいのです。

行動と心情と比較

もう少し詳しく説明してみましょう。『羅生門』の一部を抜き出します。

例えば、以下の部分について、行動に注目した場合と、心情に注目した場合を見てみましょう。

ちょっと面倒ですが、これくらいは読んでみてください。

行動に注目すると以下のようになります。2点なので簡単です。

ところが、心情に注目するとどうでしょうか?まず項目が多くなるし、どこが大事なのか判断するのは難しくなります

行動に注目する場合のルールは単純で明確です。基本的には主語と「動作を表す」述語を抜き出せばいいだけで、言葉の知識は関係ありません。

塾では行動を「動きが目で見て分かるもの」と教えていて、例えば、「悩む」とか「期待する」などは行動とはしません。

心情に注目すると、ルールの設定が難しいですね。

特に難しいのが「知らない、分からない、忘れていた」などの表現です。心情表現とは言えないかもしれませんが、「心的状態」と考えると、無視していいものかどうか?

比喩表現の判断も難しいです。「猿の親が猿の子の虱をとるように」は行動で、「老婆の床に挿した松の木片のように」は心情です。

同じような表現が違う形で繰り返されることが原因で、1~3は「恐怖」が同じだし、4~6・9は「憎悪」が共通しています。

ただし、表現はすべて違うので、同じだと判定できるかどうかは分かりません。

つまり、心情表現を見つけて、それからまとめなければなりません。言葉の知識も必要です。作業が多く、難しくなります。

だから、行動に注目した方がいいのです。

まとめ

しかし、「そんなことを言っても、問題で聞かれるのは心情じゃないか」と言う方がいます。

はい。分かってます。

目的を勘違いしないでくださいね。

国語の苦手な生徒のほぼ100%が「時間が足りなくて最後まで問題を解けない」と言います。

その原因は本文を読むことに時間をかけすぎているからです。

難しい読み方の癖がついているので、考えながら読むことになり、結局何が書いてあったのか理解も整理もできないのです。

そういう人は簡単な読み方にして、まず速く読むことができるようになってください。

内容の深い理解などははるか遠くにある理想の世界の話で、偏差値70以上になってから考えましょう。

とりあえず偏差値60が取りたいなら、これくらいの読み方でも十分に可能です。

今回の記事は読み方に関する話で終了です。

実際の問題にどう対処するかは別の記事で紹介します。

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