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2025.4.26
「漢字が苦手」な生徒のために!漢字暗記の7つの鉄則【小中学生向け】
この記事のまとめ
今回のお題は「漢字の暗記」です。
「何度書いても、次の日には忘れている」「ノートは真っ黒なのに、テストでは書けない」そのように悩む生徒・保護者の方は多くいます。
漢字暗記に苦しむ小中学生の多くは、努力が足りないわけではありません。正しい方法を知らないまま、効率の悪い「自己流」で「無駄な作業」繰り返しているだけなのです。
試験勉強において暗記が重要であることは、誰でも認識していることでしょうが、実は暗記の仕方について、具体的に教えられることは少ないと思います。私も指導者に習ったことはありません。
おそらく、多くの人が「暗記は誰でもできて当然」と考えており、「本人なりのやり方がある」「わざわざ教えることじゃない」というスタンスなのだと思います。
それが結果的にできる人とできない人の分断につながり、できない人はいつまでたってもできないままで、ずっと悩み続けることになります。
暗記は技術であり、できない人には一度正しい手順を教える必要があります。泳げない人に泳ぎ方を教えるようなもので、訓練すれば誰でも「ある程度は」できるようになります。
この記事では、当塾が実際に行っている「漢字暗記の手順とポイント」をご紹介します。
根性や時間まかせのやり方ではなく、誰でもできる再現性の高いトレーニング方法を身につけることで、悩んでいる人の助けになれば幸いです。
ポイント① 大きく書く
漢字が覚えられない子の多くは、字を小さく書きすぎています。小さく書くと、細かい部分が潰れてしまい、形を正しく認識できません。特に「影響」や「競技」などの画数の多い漢字は、1cm四方のマスではつぶれて見えにくくなります。特に小学生は鉛筆を使うので、1マスに収めることは不可能です。
おすすめは、5㎜方眼ノートで4マス(2cm四方)を使うくらいの大きさ。場合によってはマス目を無視して、さらに大きく書かせてもかまいません。大きく書くことで、細部が見やすくなり、正確な形をとらえられるようになります。
続け字は禁止。必ず楷書で、ていねいに書く必要がありますが、これも大きく書くことで解消されます。大きく書こうとすると書道をやっている感覚になり、ゆっくり丁寧な動きになるものです。
まずは大きく書くことから始めてみてください。
ポイント② 消せないペンを使う
書くときは消せないペンを使いましょう。間違えたら消して書き直すのではなく、最初からやり直す。これを当たり前にすることで「ミスをしない」感覚を育てます。
間違えることを前提とした練習は、逆効果です。消しゴムを手に持ち、間違えたらすぐに消すクセがつくと、間違えることに慣れてしまいます。もちろんフリクションは禁止です!
どうせ消せないペンを使うなら、「テンションの上がる道具」を使うとよいでしょう。好きな色のペン、万年筆もいいです。当塾では筆ペンを使わせることも多いです。カラフルなキャラクターのペンもいいですね。
暗記の苦手な子にとっては、こういうことで、少しですが嫌な気持ちを抑えられるもので、大切なことだと思います。
ポイント③ 部分でなく文全体を書く
漢字が苦手な人は覚える漢字「だけ」を書きます。その方が楽だと感じるかもしれませんが、まったくの逆で、かえって覚えにくくなります。
たとえば「タイショウ」とだけ書いても、「対象」「対照」「大将」のどれか区別がつかず覚えられません。必ず、文全体を書くようにしましょう。
例: 「このおもちゃは12歳以上対象です」 「双子だが対照的な性格だ」
というように、意味のある文で使うことで、正しい語句と漢字のセットで記憶されます。漢字の問題集を使う時は、問題がその例文になるので、それをそのまま覚えるようにしましょう。
ポイント④ 途中で見ない・いきなり書かない
苦手な人は常に見ながら書いてしまいます。「対照」と書くのに、「対」の途中で見て、「日」で見て、「召」で見て書きます。これでは作業が楽すぎるのでトレーニングになりません。
漢字を暗記するときは、途中で見たり、確認しながら書いてはいけません。一文を一気に書きましょう。
そのためには、まず文を音読します。
そしてここからが重要なのですが、書く前に「頭の中でイメージ」してください。実際に書く想像をしてもいいし、指でなぞってみてもいいです。具体的な形を思い浮かべるようにします。
イメージができて書けそうだ、となったら、実際に書きます。もちろんミスなく書くのが基本です。途中で間違えたら、最初からやり直しです。
面倒な作業に思うかもしれませんが、慣れればこっちの方が早いです。暗記の勉強を短時間ですませるには、この「頭でイメージする」感覚を身につけてください。
間違えずに、スムーズに書けたのならそれでいいです。回数を重ねる必要はありません。頭に「入れて」そして「出す」ことができたのだから十分です。むしろ何度も書いてはいけません。
回数をこなすことは写経(お経を書き写すこと。心を無にしてひたすら書く修行)のような作業になってしまいます。意味のない書き写しを繰り返しているとだんだん無意識になり、リラックスしてしまいます。記憶のトレーニングとしては逆効果です。
「何度も書いたのに覚えられない」という人がいますが、無意識の作業になっていることが原因なのだということをよく覚えておきましょう。
ポイント⑤ 暗記とは「思い出す」作業である
漢字を覚えるとは、「思い出す」力を鍛えることです。つまり、インプットではなくアウトプットが重要なのです。
見る・読む・写すだけの作業ではなく、書けるかどうかをテストして確認し、「全問正解」して、初めて暗記が完了します。
テストの手順
ではそのテストの具体的な手順を示します。
①12歳以上 タイショウ のおもちゃ、②双子だが タイショウ 的な性格だ
のような短文が20個あって、カタカナの部分の漢字を書けるようにします。
- 一通りすべての文を音読する
- イメージで全問正解できるまで繰り返す
- 頭の中で正解の漢字をイメージする
- 思い出せなければすぐに答えを見る(考えてはいけません!)
- 全問が明確にイメージできるようになったら、書いて確認する
- 音読しながら一文を丸ごと書く。無理なら部分で書く
- ミスがあれば最初からやり直す
- 全問連続正解したら終了
テストの時のポイント
①一文丸ごと書くのが基本ですが・・・
①対象 ②対照 ではなく、文を写すことを目標にしたいところですが、無理な人は短くしてもいいです。
①12歳以上対象 ②対照的な性格 などのフレーズにして、漢字だけにするのは「なるべく」やめましょう。
②20問連続正解が基本ですが・・・
これも同様に、20問で無理な人は10問、それでも無理なら5問と、できる範囲でクリアしましょう。
③考えない
暗記は出るか・出ないか、が全てです。
考えて出てくるのは暗記の完成ではありません。思い出せない時に考える癖をつけないでください。
思い出せなかったらすぐに答えを見て、最初からやり直しです。
やられたら即スタートに戻されるゲームだと考えてください。
④字のキレイさにこだわりすぎない
これは特に保護者の方に気を付けてほしいのですが、字のキレイさを指摘するのはやめましょう。
ただでさえ苦痛な作業なのに、そこまで言われたらやる気の出しようがありません。
明らかな間違いや読めないほどひどい字は指摘する必要がありますが、それは「大きく書く」ことである程度解消されます。
よく見て、ゆっくり書くようにすれば、そこまでひどい字にはならないはずです。
優先順位は暗記の仕方の改善です。それができるようになってから、次のステップに進みましょう。いきなり完璧を要求してはいけません。
⑤失敗を気にしない!!
これはすごく大事なことです。
できないから練習するんです。できる人はこんな苦労はしません。
だから、ミスをするとか、テストを全問正解できなくても気にしないでください。焦らないでください。
次こそ全問クリア!とか、ラスト1回!とか、気持ちも込めないでください。そういうのは暗記の邪魔になります。
失敗しても、すぐに次。
将棋の棋士のような感じで、淡々とやってください。藤井聡太さんなどを見ても、負けて大声出したりしませんよね?
「負けました」とお辞儀をして、すぐに対局の反省に入ります(感想戦といい、対戦相手と話し合います)。
最初は苦戦すると思いますが、慣れれば短時間でできるようになります。それまでは少し我慢が必要です。
ポイント⑥ 短時間集中と習慣化
暗記の作業は、だらだら続けるものではありません。集中して、短時間で終わらせましょう。
目安としては、1回10〜30分以内。1日に覚える漢字の数はせいぜい20個で十分のはずです。集中すれば10分程度で終わります。
もし1時間以上かかるようなら、それは集中できていない証拠です。
とはいえ、苦手な作業に集中してやる気を出すのも簡単なことではないでしょう。
そういう人は暗記の習慣化を試してください。
1日・1週間の中で、暗記の作業をする日時を決めておくのです。
寝る前の最後の時間に暗記をするとか、学校から帰ってきて夕食前とか、時間を決めます。火曜・土曜と曜日を決めるのもよいでしょう。
続けていくと、その時間になるとやるのが当たり前になり、やる気に左右されなくなります、一流のアスリートがトレーニングをするときのやり方です。参考にしてみてください。
まとめ:成果は「やり方」次第で誰でも出せる
漢字暗記は、生まれつきの才能や勘の良さではなく、やり方で決まります。
正しい方法を知り、それを地道に続けることができれば、どんな子でも確実に伸びていきます。
特に大切なのは次の4つです。
大きく書く
消せないペンで書く
一文を丸ごと書く
テストをして確認する
勉強が苦手な子ほど、正しい手順と成功体験が必要であり、そのためには、まずしっかりを教えてあげないとできるようにはなりません。
がんばりが報われるようになるために、「漢字暗記のやり方」を参考にしてみてください。
最後に
暗記の仕方変だよチェック
- ひたすら書く回数をこなすだけ
- 途中で見ながら書く
- 音読しない
- 間違えたら即消して書き直す
- 問題ばかりやっている
- 覚えたかどうかテストをしない
- できないのにずっと考え込んでいる
- 長時間ダラダラやっている
- 手の動きが遅い・止まる
- 作業の開始までに時間がかかる
10個中半分以上当てはまるようなら、早いうちに改善が必要でしょう。
困っているなら、いつでもご相談ください。
正直漢字の暗記で苦戦したことはないが、字の下手な子の気持ちはよくわかる 伊藤